Amazonで販売中の「紀伊原ひろ 詩集」より
解説
「我々は便利な生活を求めて進歩してきたが、便利になりすぎて逆に生きづらくなり人々の活気もなくなってしまって後悔している」というテーマを、某少年漫画をモチーフに綴った詩。
著者の少し上の世代の某漫画家が少年時代を過ごした昭和のバブル期は某漫画のように活気があって人々の心もオープンだった。その後バブルが弾けて著者のような「氷河期世代」が生まれ、ネットが登場して対面や口頭によるコミュニケーションが激減し、ネット上の中傷を恐れたり猜疑心が伝染して人々の心も閉ざされていき、漫画やアニメのように感情表現しながら言いたいことを言うことも難しくなった。
便利になりすぎて逆に生きづらくなり、仕事もどんどん機械に奪われ、いろんなことが既に解明されてしまい、漫画も音楽ももう新しいジャンルやネタも生まれず、少子高齢化が進み、「悟り世代」なんて言葉があり、私や麦わら帽子を被った某海賊のようなADHD患者も本能的に生きられなくなり、昔は「個性」だったものが「障害」と扱われて薬漬けにされる。そんな世の中に生まれてくる必要があるんだろうか。という内容になっている。
そのほか、「バブルの落とし子」である某漫画家やその他の漫画家に対する「漫画の中でだけ感情表現したり奔放に振る舞ったりオープンな人々を描いたりして虚しくならないんだろうか」という問いかけや、漫画・アニメに対する批判的な意味も含まれている。
漫画やアニメ、テキストチャットならセリフも時間をかけて練り、誤字脱字も修正できるし、会話も計算して組み立てられるが、リアルで感情表現したりリアクションを取れる人間が激減した今の世の中で、漫画やネット上でだけ感情表現しながら( 時間をかけて修正を入れた) セリフを吐いても虚しいだけだという批判や、ネット上でしか感情表現できない自分自身に対する自己嫌悪の念も込められている。
自分の意見をキャラクターに代弁させているブログを見てると、ネット上でくらい自分で喋ればいいのにと思う。
とはいえ結局のところ私はマンガ好きである。
言葉の意味
開国 - ネットの普及とグローバル化。某海賊漫画に登場する、鎖国中の国をモデルにしている。
氷河エイジ- 氷河期世代。同漫画の登場人物が使う技のパロディ。
閉国せよ~EUランド - イギリスのEU離脱などに見られる反グローバリズムの潮流。
ダブリュードット - 開国(ネットによって人々がつながりやすくなった)であると同時に鎖国(「wwwww」を使った中傷・嘲笑によって人々が心を閉ざしたり猜疑心を持つようになった)でもある。
「流」は時代の流れ、「龍」は某漫画の鎖国国家に現れる龍。
AI~ウォシュレット- 「世の中をもっと便利に!」と言いながらも結果的に生きづらくてある意味「不便」な時代を作ってしまった世代の尻拭いを「便利」なウォシュレットが行うという皮肉。「便」とも掛けている。