Part⑧でベクターアートを使ったアニメーションを2つ投稿したが、こういうアニメーション作りのスキルは本来は自分のオリジナル曲を付けた音楽動画の為に習得したものだった。
以前の記事でも書いた通り、怖いもの知らずのガキの頃とは違い、ネットで堂々と顔出しして派手なパフォーマンスやふざけたことをやる勢いも図太い神経もなく、あんまり顔出したりせずに音楽動画を作る必要があった。
わざわざ動画にする理由の一つに、音楽単体だと音作りのクオリティの低さが目立つから動画を付けて音のクオリティの低さを誤魔化そうというものがあった。プロのエンジニアに依頼するのは金も無く人とも関わりたくないから無理だった。あとは誰でも無料でアカウントもアプリも必要なくて収益化も出来るYouTubeの存在もデカい。
2020年はインスタにもハマっていて、最初は単に静止画のアートワークの上にスペクトラムアナライザーを重ねただけの音楽動画を投稿していたが、もっとちゃんとした動画やアニメーションを付けたくて制作手法を学んでいた。
哲学とか考察系のブログやYouTubeもやりたいと思っていて、音楽の為に身につけた動画編集とアニメーションのスキルを流用した。
逆に、(稼げない音楽の代わりに)デザイン業で稼ぐために身につけたベクターグラフィックのスキルを曲のアートワークや音楽動画、プロフ画像などに流用した。
病的なまでに物事同士を連想したり関連付ける癖のある統合失調気質なオレは、お蔵入りした昔のアイデアだったり別のカテゴリーのアイデアを流用して、別々のプロジェクト同士をミックスして一つの作品にすることが得意で、そういうアイデアを思いついた時には躁状態になって興奮して壁に向かってピースしたり、腰を激しく前後に振って空気相手に世ックスをしはじめる。
2020年の夏までは「Kinoco Art」というインスタアカウントやFacebookページ、YouTubeを持っていて、その一つのアカウントで音楽、街で撮った写真を加工したアートフォト、哲学とか自分の考え系の画像や動画を全て投稿してごちゃごちゃな状態だった。
アカウントを哲学・考察・意見系と音楽系の二つに分けることも考えたが、上述の通り物事の関連付け癖があるオレには難しかった。そもそも歌物の音楽なんて自分の感じ方や価値観、哲学なんかを歌うものだから内容が被ってしまう部分があり、分けるのが困難だった。アート写真に関しては曲のアートワークや音楽動画で使うことにした。
自分の考えをすべて曲にしてしまおうかと考えたが、ブログや本に書けば済むことなのにそこまで凝ったことをやろうとするのは馬鹿げてるし時間もかかりすぎるからやめた。
このように、頭の中のごちゃごちゃをミックスさせて一つのプラットフォームやフォーマットで何もかも一度にやろうという偏執的なまでのこだわりの強さや柔軟性に欠ける思考回路には生涯悩まされ続けた。柔軟性に欠けるとは言ったが、自分が直接関わらない物事に対する客観的な見解だったり、物事をミックスすること自体はむしろ柔軟で器用だったりする。
だが自分や自分の生活、環境に直接関わってくる所ではとたんに柔軟性が欠けてこだわりが強くなってしまう。今回の「何をやって何を辞めて何を優先してアカウントやサービスの使い分けはどうするか」みたいなのは自分の生活、タスクに関することなので、タスクが増えるとすぐにテンパってタバコを5本連続で吸いながら頭の中を整理しなくてはいけなくなり、それを30分置きにいちいちやるハメになるオレとしては極力シンプルな体制を構築したかった。単純にいくつもアカウントやページを管理するのは面倒だし時間もかかるというのもあった。
しかしさすがに2つに分けたほうがいいなと判断し、新しく開設した音楽アカウント(チャンネル)を「Passchord Rock」と名づけ、「哲学、考察、アイデア系はそのまま「Kinoco Art」で行くことにした。(その後、紆余曲折を経て音楽チャンネルはシンプルに「Hiro Kinohara」になり、Kinoco Artは2020年末に削除し、2023年1月にこのブログ「紀伊の音」のYouTube版として復活した。TシャツショップのKinoco Martは消してないが2021年3月からずっと放置している)
2019年からいくつかまともにレコーディングとミキシングをした作品を作ってきたが、一人で作曲とレコーディング、ドラムやベースの打ち込み、コーラスなどのアレンジをやり、さらに曲のアートワークと動画まで作るのは思ってた以上に時間がかかりすぎること、そして自分の時間管理能力の乏しさを痛感した。
他の仕事をしてなくてもデモ以上プロ未満なクオリティに仕上げるのに1ヶ月から2ヶ月はかかる。当時はデザイン業と並行してた為、3ヶ月くらい掛かった曲もあった。全てをデジタル音源でやるならもっと早く仕上げられるのだろうが、ギターがメインなためミスがあったりクリップノイズが入ったりするしEQやエフェクトに時間がかかりまくってしまった。
そこで、全てを自分で一から作るのは辞めて、写真やベクターイメージ、ビデオクリップなどの無料素材を活用することにした。無料素材のダウンロードサイトを検索し、Pexels.comやPixabay.comなどのサイトをブックマークした。オレが愛用してるドロー系アプリのVectornatorにも無料素材を検索して追加出来る機能がある。(前回投稿したクマの動画の背景で使用)
Kinoco Art用の動画には自分の曲じゃなくてYouTubeのオーディオライブラリの曲を使うことにした。(同じく前回投稿したシューティングゲーム風の動画で使用)
音楽制作の方もドラムはGarageBandのAIドラマーを活用することにした。
それでもいちいちアニメーションなんかを作ること自体が面倒なので、7月にはもっとシンプルに演奏動画をやろうと思いはじめ、顔出ししたくないオレはとりあえず顔から下だけのギタープレイ動画をインスタに投稿するようになった。やっぱりコソコソ隠れてアニメーションなんか作るよりも本人が出てるほうが印象もいいだろうしSNSで絡みやすいだろうという考えもあった。とはいえその後もアニメーションを作ることもあったがギターと歌の動画がメインになっていき、グラサンをかけて顔も映すようになった。