紀伊の音

ADHDクリエイター紀伊原ひろの器用貧乏なブログ

4年前に死にきれずに始めた創作活動の振り返り30 - 生活保護と自己破産の2022年秋

 

パート29

7月に引き続き、8月末に支払うカード代も支払えずまた親に借りることになったが「これ以上はちょっと厳しい」と言われ、4年間ずっと家賃を仕送りしてもらっていたがそれももう続けられないから自分で稼ぐか実家に戻るかしてほしいと言われたので生活保護を申請することになった。

 

役所で相談し、申請書を提出した。すでに障害年金を受給していたこともあり割とすぐに申請が下り、9月から生活保護を受給することになった。月6万くらいの障害年金を貰っていたので、国が算出した「最低生活費」(状況によって変わるが大体1215万くらい)から年金の6万を差し引いて、6万ちょっと貰えるようになり、これを家賃と光熱費に充てることにした。

 

分割とリボで支払いを先延ばしにしていた未払いのカード代が分割手数料やリボの利息を含めて合計100万くらいあり、月に最低69万くらい返済する必要があったが、少しずつ返済してもどんどん利息が嵩んでいつまでも返済できないというリボ地獄に陥っていた。

 

役所から「法テラス」(弁護費用などを立て替えてくれる公的機関)を紹介され、法テラスを通じて自己破産手続きをするよう勧められたが強制ではなかった。

 

だが自己破産すれば当然カードは使えなくなる。今後も家電の故障などで万単位の出費が急に必要になることもあるだろうが収入が無い限り一括では払えないから分割を利用したかったし、音楽配信代行サービスやYouTube広告、格安SIMなど何かとカードが必須なサービスを利用してたり、公共料金もカードで支払っていたため、金持ちの12ヶ月分の給料程度の借金で自己破産申請するのには抵抗があった。手続き自体もかなり面倒で大変らしいのでなおさら抵抗があった。

 

とはいえ早急に金を稼がなくてはならず、仕事をするか破産申請するか激しく迷っていた。現実感に乏しかったり頭を切り変えられないオレもさすがに現実的にならざるを得なかった。

 

妄想や空想に浸ったり子供みたいになったりすることでおぞましい現実や大人の社会から目を背け、不安と恐怖を抑えてどうにか生き延びてきたオレも、40代に突入してしまったことや生活保護を受けることになったことによって現実と直面せずにはいられなくなり、不安と焦燥感に苛まれ、抗不安薬を手放せなくなっていた。

 

自己破産手続きをするとさらに「現実」に圧倒されて不安・パニックになりそうだという懸念があった。生活環境などが変わると不安で落ち着かなくなるオレとしては出来ればこれ以上生活パターンを変えたくなかった。

 

普通に働ける状態ならこの程度の支払いなんて容易いだろうしそもそもリボ地獄に陥ることもなかっただろうし、オレもその気になれば月に数万くらいは稼げたが、ここ数年で精神状態も悪化して働く気もなく、働くなら事件を起こして自殺したほうがマシだと考えていたので音楽配信等やりたいことだけやっていた。

 

仕事しないで収入もなく、誰とも関わらないでいるから精神状態が悪化したというのは否めないが、かといって一般的な労働をしてれば精神状態が良くなるのかといえばそんなこともなく、元を辿れば鈍感で図太い人間に囲まれながら不向きな労働をして発狂してしまったわけで、結局は悪化していただろう。

 

病気(妄想や不安など)の悪化の原因は主に誰とも関わらずに頭の中だけで生活してることとにあるから、人と関わる必要はあったが、仕事である必要はなかった。人が多い空間にいると音や声に圧倒されて頭が真っ白になって幽体離脱して倒れそうになる症状もここ数年で悪化したため、以前はやれていたような物流倉庫のピッキング作業みたいなのも厳しくなってしまった。

 

8月末に「戦場のヒマワリ」を配信し、他にも形にしたい曲はたくさんあったがさすがにもうやりたい事だけやってられる状況ではなくなってしまい、7月に一度だけコンペに挑戦したロゴデザインをまた再開する必要があった。仕事なんて他にもいろいろあるが、もともと柔軟な思考が出来ない上に追い込まれて余裕がなくなったオレは「ロゴデザインで稼がなくてはいけない」という強迫観念を持っていた。ロゴじゃなくてもよかったが、コンビニのレジの仕事すらテンパって出来ないオレはもう発達障害や精神疾患の産物として備わっていた能力を活かせることしかやりたくなかった。

 

だがロゴデザインで稼ぐには少しずつ実績を積んでいかねばならず、カードの返済に間に合いそうもないので、迷った末に自己破産手続きをすることにした。

 

法テラスへ行く日になると、案の定極度の不安とパニック発作に襲われ、吐き気がし、風呂場で「おえーっ!!おぇえーっ!!」と言いながら顔面蒼白になっていた。

 

人が苦手すぎて初対面で緊張してあらかじめ予行練習したりすることにも、本当の自分を隠して普通の人間のフリをすることにもウンザリしていて、人と会うことや社会への拒絶反応がもはや尋常ではなく、この世に音楽や言葉を残してはやく死にたいと思っていたオレはとにかく事務所へ行くのが嫌で、まるで死刑場にでも行くような気分で、自殺衝動に駆られていた。手元に拳銃があったら死んでいたかもしれない。

 

ただでさえ人や初対面が苦手なオレだが、中でも弁護士のような堅っ苦しい男性は大の苦手だった。

 

抗不安薬を飲んで少し落ち着きを取り戻し、過呼吸を抑える為のビニール袋(口と鼻に袋の口を当てて深呼吸する)をポケットに入れて出かけたが、時間を守れないADHDのオレはいつも通り少し遅刻してしまった。だが遅刻しそうで焦っていたことによって脳が覚醒されたり緊張が少し和らげられたりしていた。

 

弁護士との面談中も解離やパニックを起こしそうになっていたが、仕事の面接とちがって変にかっこつけたり普通のフリをする必要は少なめ(金の管理が出来なくて生活保護受給中の精神障害者として赴いたので)だったこともあり、落ち着かせ効果のある水とガムの助けも借りてどうにか無事に面談を終えた。

 

そういう苦手で嫌すぎるイベントを終えると一転して躁状態になって酒を飲んだり世ックスをしたくなったりするオレだが、さすがにもう40歳になって生活保護で現実を見ざるを得ない状態であるため、今までほどハイにはならなかった。

 

とりあえず弁護士、法テラスとの契約を結び、この先数ヶ月間にわたって必要書類(カードの利用明細、アパートの契約書、破産申請に至った事情、その他諸々)を提出したり審査を受けるなどの手続きをしていくことになった。

 

つづく

©Hiro Kinohara
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