十数年ぶりに一人暮らしをはじめた2018年(37歳)から2020年までは月6万の障害年金と月5万の親の仕送りでやり繰りしていたが、唯一所有していたデジタル端末のiPhoneだけで創作をして外出も徒歩圏内で服も買わないという窮屈な生活にうんざりして、カードを分割払いで使ってチャリを買ったり、ギターを破壊して安物ギターを買ったり、中古のiPadを買ったり、チャリが2回パンクして修理代がかかるなどしてカードを使うことが増えていった。
タバコが値上がりしたり酒の量が増えたりして飲食費も上がっていき、音楽配信のためにディストリビューターやYouTube広告に支払ったりもするようになった。
分割とリボを使ってるうちに手数料と利息はどんどん膨らんでいったが、現実感も自己管理能力も無いオレは「そのうちロゴデザインで金を稼いで返済しよう」と思いながらも、人と直接関わらなくてはいけないデザインの受託業務は先送りにし、やりたいこと(主に音楽)だけやってきた。
分割代に圧迫されていき、それまでは現金やデビットカードで支払っていた普段の飲食費もクレジット払いをするようになり、カード会社のサイトの「あとから分割」機能を使って分割払いに変更していた。
カードAの利用可能額が無くなったらカードBを使い、少し返済してカードAの可能額が空いたらまたAを使うというローテーションでやり繰りしていたが、利息が嵩み、毎月の返済の半分近くが利息分に充てられたりして利用分の返済が出来なくなっていき、AもBも利用可能額が回復しなくなり、新しくカードCを作ってそれを使ったりしていた。
そうやって支払いを先延ばしにして自転車操業でやり繰りしていた中、女に飢えすぎていたオレは出会い系や風俗まで利用するようになり、「まだ大丈夫」「来年になったらデザインの仕事する」「絶対稼げるようになる」と言い聞かせてきた。
いざとなったら親に借りればいいとも思っていた。親がいなければさすがのオレももっと現実的になれていただろう。
とにかく金を稼ぐ必要があったが、もともと「この世に音楽や言葉を残してはやく死にたい」と思って金にもならない赤字の音楽配信をやったりしてきたオレとしては「もう不向きな一般労働はしたくない。それならもう事件を起こして自殺したい」という気持ちもあり、「無理に仕事して死にたくなったり暴力的になるくらいならやらなくていい」とも考えていた。
実際、働かずにやりたい事だけやれていたからこそ生きてこれたし、目標に向かって頑張ることも出来ていた。
一般的には金を稼ぐことは「生きるための目標」ではあるが、オレにとっては「死ぬための目標」でしかなかった。働こうとすると一気に死にたくなってしまう。それほどまでに資本主義の末路のような今の社会や、日本の肩っ苦しいビジネス会話に対する拒絶反応があった。
しかしもう2020年からずっとクラウドソーシングサイトを使ってロゴデザインの仕事をやろうとは考えていて、少しでも仕事するよう催促してくる親にもそう言って言い逃れしてきたし、カード代も払えなくなってきたしさすがに限界が来ていた。
2022年になったら仕事をするつもりでいたが、頭を切り替えられないADHDのオレは年が明けてからも「春になったら仕事する」と言って音楽をやり続けていた。
春になり、仕事をしなくてはいけなくなった。冷静に考えれば少し働いてまたやりたい事をやればいいとか、週3日とか短時間のバイトとかUber eatsでもやりながらやればいいという思考になるし若い頃はそうしてたが、もうそんな気力もなく前述の通り社会が無理すぎて死にたすぎる社会不適合者のオレは「仕事する = ゲームオーバー = 死」みたいな強迫的な思考になっていた。
ただでさえ春は死にたくなったり何もやる気が起きなくなったり全く集中出来なくなるオレだが、2021年に40歳になり、もういろいろとどうでもよくなってきて覇気も無くなり、本格的に他界したくなっていた。
春は死にたくなるからGW明けてしばらくしたらロゴデザインの仕事に挑戦することにした。雨の日は気分が落ち着いてることが多いから6月の梅雨の時期にロゴデザインをやろう、ロゴの「ロ」は「6月」のロだしちょうどいいと言い聞かせた。
あと一曲どうしても形にしたい曲もあり、その曲の制作に着手した。夏の曲だったので春のうちに制作して夏にリリースしたかった。それまでは季節物の曲を制作する時はその季節になって慌てて着手し、季節の終わりにようやくリリースするという失敗を重ねてきたので今回は早めに開始した。
社会との接点がほとんど無かったオレは寂しくなって、社会に属してるような気分に浸るために出掛ける用事も無いのに早起きして通勤電車に乗ったりして通勤者に紛れていた。普段行かない場所へ行って気分転換したかったという理由もあった。
金を稼がなくてはいけないのに1円にもならない音楽制作なんかしてていいのかという焦りや、3年に及ぶ活動で何の成果も出せず作品数も予定していたより数をこなせず、ブログ等ずっと計画していた他のことも全然出来なかったという苛立ち、才能はあっても計画性や商売・宣伝面で不器用すぎて結果を出せないオレとは対照的に大した才能は無くても他人の真似をしてうまいことフォロワーを増やしてる人間や見た目がいいっていうだけでほっといてもフォロワーが増えていく女への嫉妬と怒りなど、フラストレーションが蓄積されていた。
15年くらいほとんど誰とも関わらずいつも一人で居たオレがずっと抱いてきた、人と一緒になって楽しそうにしてたり他人の悪口を言っている、発達障害も精神障害も無い普通の人間たちや図太い人間たち、特にカップルに対する殺人的な嫉妬と憎悪もMAXレベルになっていた。
人は誰かと一緒にいると強気になって他人の悪口を言う生き物で、残念ながらオレも人といる時はついそうなってしまうが、オレは人と一緒になって他人を馬鹿にする時も、「まあオレもああいうふうになったりするわ」的なフォローを入れるのに対し、多くの人間はそれをしないからそういう図太くて感受性や共感性に乏しい奴らへの憎悪も昔から抱いてきた。一人で居ることが圧倒的に多いオレは周り全てが敵に見えてしまい、つい一方的に被害妄想してしまう。
さらに、女が好きすぎるADHDのオレは街中で女にばかり気を取られ、さらけ出された脚から目が離せず幼児のようについ凝視してしまって恥ずかしい思いをしたり、凝視したり触ったりしたい衝動を我慢して「くっ・・!!」となり、その女の映像がずっと頭から離れず、その女に似た工口画像や動画をいちいち検索して抜かないと気がすまなくなるのに対し、生脚をさらけ出した女は自分のことに集中して鳩のようにしらじらしく淡々と歩いているということに対する長年の怒りも最高潮に達していた。
女が好きすぎてAVや工口コンテンツ、男だけ有料の出会い系にさんざん金と時間を搾取され、金も無いのに我慢の限界で風俗へ行って借金が嵩み、逆に見た目がいい女はそれで稼いでいるというムカつきも日に日に増大した。
女が好きすぎるのに精神的コンプレックスがあったり、自分が誰なのかも分からなくて誰とも話せなくなってからは女ともほとんど話せず、ステータス的にも自信が無いオレは彼女も出来ず、女が好きすぎて逆に憎悪するようになっていった。
自暴自棄になってどうでもよくなってしまった心理と相まってこれら一連のフラストレーションが暴走し、長年LINEをしていた女友達に「女を暴行したい」「痴漢したい」「女なんて金で買えばいい」など、女を憎悪して侮辱する内容のチャットを送り、それまで幾度となく暴言を吐いて嫌がられてはまた仲直りするということを繰り返してきたが今回ばかりはさすがに愛想を尽かされてしまい、永久にブロックされることになってしまった。
頭がイカれてきたオレは実際に痴漢したくなって、無職なのに通勤電車に乗って女の後ろに立って髪の匂いをクンクン嗅いだり(さすがに触ることは出来なかった)、夜道で女に襲い掛かろうと思って我を失った状態で夜中に出かけたこともあった(実行は出来なかった)
基本的に受け身でドMな性質なオレは我慢しなくていいような所で我慢してしまったり、気を使いすぎてしまったり、他人の感情を汲み取り過ぎたり他人を優先したりしてエネルギーを自分の内側に溜め込み、臨界点に達すると一転してサディスティックな鬼畜に豹変するのだが、この時期もそんな風に自分の中の悪魔が暴走していた。
結果を出せずに40歳になってしまったことや自業自得な借金生活により自責の念に苛まれることで鬱状態が続いていたため抗うつ薬を飲んでいたが、薬の作用もあって攻撃性が増していた。(双極性の場合はリチウム塩などと併用しなくてはいけないらしい。)ワイパックス(抗不安薬)も多飲していて、ベンゾジアゼピン依存症になっていた。
何の予定もないゴールデンウィークが寂しすぎて再登録した出会い系の掲示板にも「殴らせてくれる女性いませんか?」「首を絞められたいM女募集」みたいな書き込みをしたり、パパ活糞女に暴力的なメールを送って利用停止処分を受けてしまった。
このような混乱状態にあったため、4月に着手した曲の制作も身が入らず、ボーっとしながら取り留めもないことを延々と考えたり妄想に耽ったりしている日も多く、酒の量も増えていたが、予測していた通り5月半ば〜6月くらいになるとやや落ち着きを取り戻した。それでも借金返済の焦りや不安があり、以前のようなやる気も失ってしまい例年よりも不安定だった。