紀伊の音

ADHDクリエイター紀伊原ひろの器用貧乏なブログ

4年前に死にきれずに始めた創作活動の振り返り16 - 音楽に注力した2020年冬

Part15

1年半の活動でTシャツが一枚売れた以外は何も結果を出せずに自暴自棄になり自殺衝動に駆られていたが、38歳にして生まれてはじめて風俗へ行って9年ぶりに女の体に触れることもでき、冬になって落ち着きを取り戻したオレは仕切り直してまた頑張ろうとしていた。

感情の強さに死ぬほど悩まされてきたオレはもういっそのこと感情の無いロボットになりたいと考え、「AI」の文字を元に描いたイラストをショップに追加した。まだショップを辞めるか迷っていたが、結果的にこれがTシャツデザインの最後の作品となった。

 

AIをテーマにデザインしたTシャツ
REDBUBBLE で販売中の「AI」Tシャツ
マントではなく天使の羽にすべきだった



ショップの作品数もそこそこ増えてスキルも十分身についたので、全然稼げない販売は辞めて、ショップの作品をポートフォリオ代わりにしてデザインの仕事を受注しようと前々から考えていたが、元々は「死ぬ前に今まで書いてきた曲をちゃんと形にしたい」と思って始めた活動で、デザインはあくまで小遣い稼ぎ目的だったのに気がつけば趣旨が変わってしまい、一番やりたかった音楽をそっちのけでショップ運営に力を入れ過ぎていたため、もっと音楽に注力したいと思っていた。

 

仕送りしてくれていた親には申し訳なかったが、デザインの受注は先延ばしにし、しばらくは(稼げないし稼ぐ気もない)音楽に専念することにした。

 

普通ならデザインの仕事なりバイトなりをしながら隙間時間で音楽をやればいい、という思考回路になるのだろうが、もう不向きな一般労働は二度としたくなく、それならもう暴力事件を起こして自殺したほうがマシ、と考えていて、何より人と関わるのがもう怖くて嫌だったし、子供のままでいたかったオレは大人なビジネス会話をしながらデザインの受注をするのも嫌すぎたので先延ばしにすることにした。

 

音楽の方は夏から顔を隠して撮影したオリジナル曲のギター動画をFacebookとインスタに投稿していたが、やはり顔も写したほうがいいと思い、グラサンをかけて「Longtail Cocktail」という歌無しのオリジナル曲のギタープレイ動画を撮った。この曲はオレや多くの同世代バンドマンたちが影響を受けたであろうニルバーナとレッド・ホット・チリペッパーズの影響が如実に表れている。

 

 

自宅アパートで撮ったが、アパートは楽器禁止で、隣の部屋にはオレみたいな被害妄想症状のある引きこもりがいる為、弦にセロテープを貼って音があんまり鳴らないようにしてコソコソと撮影した。

 

まともに撮った最初のギター動画だったが、イヤホンを付けてる(コードも絡まってる)ところなど、まだ初心者っぽい感じがあった。背景もただの白い壁だった。

 

だが今までの顔隠し動画よりは格段に進歩することが出来た。

 

グラサンをかけてスカした感じでカッコつけているが、実際にはかなり幼稚だったり下品だったり変態なくせにスカしてカッコつけてることに罪悪感や虚しさを感じた。変なプライドの高さには生涯悩まされ続けた。それがなければM尾系の変態男優になっていただろう。

 

Longtail Cocktailの音楽部分の制作ではもうあまり凝ったことをやろうとしたりイコライジングにこだわりすぎたりするのを辞めて、一週間以内でパパッと仕上げた。ベースラインは自分で打ち込んだがドラムはGarageBandAIドラマーをそのまま使った。メロディを付けて歌も入れたかったがとりあえずはインスト曲として公開した。

 

SNSはもうインスタしかやらなくなっていた。ほとんど興味もなく場合によっては嫉妬してしまう他人の投稿を見たりリアクションをする活動もまだやっていた。動画の内容をほとんど見ずにイイネだけ付けてくるクズ(オレも時々そういうくだらない行為をしていた)しかほとんどいなかったが、まともにコメントしてくれる人もいた。

 

傷付きやすすぎるクセについつい余計なコメントやふざけたコメントをしてウザがられたり、躁状態になってチャットを送りまくったり攻撃的になって人間関係を壊してきたオレはすっかり人と関わるのが嫌になって怖くなり、大切な人も傷つけてしまったからもう人生楽しんではいけないみたいになったオレは、昔みたいにはっちゃけたコメントはしなくなり、定型文みたいなコメントしかほとんどしなくなった。

 

単純に歳を取ってめんどくさくなってしまったのもあるし、コメントに時間を割く余裕がなくなったというのもある。最近は冷めた人間が多く、冷めたリアクションをされるとものすごく傷付くオレはほんとは明るくて面白い面もあるがわざと自分を抑えてクールなフリをしている。変態才ナ二一をしまくってるのを隠して人と接するのも罪悪感があったり虚しかったりした。

 

表向きは友達や繋がりがあっても、人間なんて誰でも秘密を抱えて孤独な生き物だし、偽りの繋がりなんていらない、っていう自分とそれでも人と繋がりたいっていう自分が居て、20231月現在まで常にそんなジレンマを抱えている。

 

人に対して心を開かなくなり、大人のほうの自分の性格はすっかり暗くなってしまったが、1人でいる時には子供の自分が出てきたり幼稚でくだらないことをして遊んだりしていた。

トイ・ストーリーシリーズにハマり、監督のジョン・ラセターが映画の着想を得た横浜のブリキのおもちゃ博物館へ行ってきた

この頃は太っていた

心を子供の状態に解離させることで大人の社会の現実・過酷さ・歳をとって死ぬことへの不安から目を背けてきたため現実感に乏しく、「今」が永遠のように感じるADHDでもあるため、まだ30代で親からの仕送りもあったオレは「金を稼ぐ必要はあるがまだ大丈夫」みたいな気になれていたため、心の底では早く死にたいし地球爆発してほしいと思いつつも幼稚でふざけたことをしていた。

 

もう人生楽しんではいけないという自分と、明るい自分を取り戻して前向きに生きたいという自分が対立していた。

 

2023年の今はもう40も過ぎ、年齢的にも親や自分の死を意識せざるを得なくなり、仕送りも厳しくなったため生活保護を受けることになってカード破産もして経済的にも追い込まれてふざけてる場合ではなくなり、もう物事への関心も無くなってしまい、毎日不安すぎてはやく死にたいと思っているのでこういうこともしなくなった。

 

一段と寒くなりはじめた11月後半に、公園でギターを弾きながら「Cold Cheese(冷たいチーズ)」という、インディーロック寄りの曲を作曲した。2020年末はこの曲のレコーディングと制作に没頭することになった。

 

 

他にもレコーディングしたい曲がいっぱいあったにも関わらず、直感任せで計画的な行動が出来ないオレは、冬っぽい雰囲気のこの曲を冬の内に完成させてリリースしたいという欲求を抑えることが出来なかった。

 

同年の秋に、一つ一つの作品に時間をかけずに「広く浅くのスペシャリスト」を目指すと決めたばかりだった(→Part14)のに、またしてもいちいち凝ったことをやろうとしたり細かい部分にこだわり過ぎたり、アニメーションまで作っちゃったり、年末年始は寂しすぎてまた出会い系に手を出してしまったり、他のことに気を取られたり同じ考えごとを何度も繰り返したりしていた結果、「Cold Cheese」は暖かくなり始めた3月にようやくリリースすることになる。

 

それ以外にはちょっとだけ公園で作曲した曲をその場で録音してそれに合わせてグラサンかけながらギター動画を撮ってインスタに投稿していた。

つづく

©Hiro Kinohara
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